暑さが残る9月ですが、朝夕の風や虫の声、少しずつ高くなっていく空など、ところどころに秋の気配を感じられるようになります。
暦の上でも、9月は「白露」「秋分」という二十四節気を迎え、季節が夏から秋へと移っていく時期です。
七十二候にも、草に露がつく様子や、燕が南へ帰っていく姿、雷が遠ざかる様子など、季節の変化を感じさせる言葉が並びます。

この記事では、9月の二十四節気・七十二候と、季節の行事や風習をご紹介します。



忙しい毎日の中でも、空を見上げたり、旬のものを味わったりしながら、小さな秋を見つけてね。
9月はどんな月?


9月は、季節の節目となる行事が多く、暦を通して秋を感じられる月です。白露や秋分を迎えるほか、重陽の節句、秋彼岸、十五夜など、昔から受け継がれてきた風習もあります。
暦や行事に目を向けると、9月ならではの季節の楽しみが見えてきます。
9月の和風名月「長月」


和風月名は、「長月(ながつき)」と呼ばれます。
長月という名前には、いくつかの由来がありますが、「夜長月(よながつき)」が短くなったものという説がよく知られています。
秋が深まるにつれて夜が長くなっていくことから、「夜が長い月」という意味で呼ばれるようになったと考えられています。
9月の二十四節気


■白露(はくろ)
毎年9月7日頃に迎えます。
白露とは、草木に降りた露が白く見える頃という意味があります。日中はまだ暑さが残っていても、朝晩には少しずつ涼しさを感じる頃になります。
「夏が終わった」とはっきり感じるわけではなくても、朝の空気や草木の様子から、季節が少しずつ変化していることに気づく時期です。
白露の七十二候
初候「草露白(くさのつゆ しろし)」
草に降りた露が白く見える頃。
朝の光を受けて、草の葉に小さな露がきらりと光る様子を表しています。暑さの中にも、秋らしい朝の風景を感じさせる七十二候です。
次候「鶺鴒鳴(せきれい なく)」
セキレイが鳴き始める頃。
七十二候では、季節の変化を植物だけではなく、鳥や虫などの生き物の様子からも表現しています。
末候「玄鳥去(つばめ さる)」
春にやってきた燕が南へ帰っていく頃。
春から夏にかけて身近に見かけた燕が、少しずつ姿を消していきます。「燕が去る」という言葉にも、夏の終わりと秋の深まりが感じられます。
白露の七十二候は、露・鳥・燕を通して、夏から秋へ移り変わる自然を感じられる内容になっています。
■秋分(しゅうぶん)
毎年9月23日頃です。太陽が黄経180度の位置を通過する頃を指します。昼と夜の長さがほぼ等しくなり、この日を境に少しずつ夜の時間が長くなっていきます。秋分は、本格的な秋の訪れを感じる節目でもあり、秋彼岸の中日として先祖を敬い亡くなった人をしのぶ日とされています。
秋分の日には、太陽が寒川神社の上を通るとされる「レイライン(御来光の道)」が注目されます。寒川神社は、富士山や筑波山などを結ぶ「相模國一之宮寒川神社のレイライン」の要所として紹介されることがあります。秋分という太陽の動きと神社の位置関係を知ると、暦をまた違った角度から楽しめます。


秋分の七十二候
初候「雷乃収声(かみなり すなわち こえを おさむ)」
夏の間に聞こえていた雷が、次第に鳴らなくなっていく頃。夏の終わりを、空の変化から感じさせてくれる七十二候です。
次候「蟄虫坏戸(むしかくれて とを ふさぐ)」
虫たちが土の中などに入り、冬ごもりの準備を始める頃。
「虫が戸をふさぐ」という表現から、自然界が少しずつ冬に向かって準備を始める様子が伝わります。
末候「水始涸(みず はじめて かる)」
田んぼの水を落とし、稲刈りに向けた準備をする頃。稲が実り、収穫の季節へ向かっていく様子が表されています。
9月9日は「重陽の節句」のめでたい日


中国では、奇数は「陽」の数字とされ、9は陽の数字の中でも最も大きな数字と考えられていました。
その9が重なる9月9日は「陽が重なる日」という意味から「重陽(ちょうよう)」と呼ばれ、非常にめでたい日とされました。
こうした中国の節句の文化が日本にも伝わり、平安時代には宮中で重陽の節句の行事が行われるようになったとされています。
日本では、秋に咲く菊と結びつき、「菊の節句」とも呼ばれるようになりました。
重陽の節句には何をするといい?
重陽の節句は、長寿や健康を願い、秋の季節を楽しむ日として過ごすのがおすすめです。
昔の風習をそのまま再現しなくても、気軽に取り入れられます。
・菊の花を飾る
・菊を眺めながら季節を感じる
・菊を使った料理や菊花茶を楽しむ
・栗ごはんなど秋の味覚を味わう
・家族の健康や長寿を願う
9月の行事



9月には、敬老の日や秋分の日、秋彼岸、十五夜など、季節を感じられる行事があります。
敬老の日
敬老の日は、長年にわたり社会に尽くしてきた人を敬い、長寿を祝う日です。
家族や身近な人に感謝を伝えたり、食事を一緒に楽しんだり、花やお菓子などを贈ったりと、日頃の思いを伝えるきっかけになります。
2026年の敬老の日は9月21日です。
秋分の日と秋彼岸
秋分の日は、祖先を敬い、亡くなった人々をしのぶ日です。秋分の日を中心に、その前後3日を合わせた7日間が秋彼岸となります。
この時期には、お墓参りをしたり、家族で先祖を思いながら過ごしたりします。秋彼岸には「おはぎ」を供える風習もあります。
十五夜・中秋の名月
十五夜は、秋の月を眺めて楽しむ行事です。月見団子やすすき、秋の収穫物などを供え、月を眺めながら秋の実りに感謝します。
2026年の中秋の名月は9月25日です。満月は9月27日で、中秋の名月と満月の日が2日ずれています。
月を眺めたり、月見団子を用意したりするだけでも、季節を身近に感じることができます。
9月に楽しみたい「秋の七草」
秋の七草は、7種類です。
- 萩(はぎ)
- 薄(すすき)
- 葛(くず)
- 撫子(なでしこ)
- 女郎花(おみなえし)
- 藤袴(ふじばかま)
- 桔梗(ききょう)
春の七草が食べて楽しむものなのに対して、秋の七草は、花を眺めながら秋の風情を楽しむものとして知られています。
十五夜の飾りとしてすすきを取り入れるのも、秋を感じる方法の一つです。
9月の旬を食卓に取り入れる
9月になると、秋の味覚も少しずつ増えてきます。
たとえば、
- 栗 🌰
- 梨 🍐
- ぶどう 🍇
- さつまいも 🍠
- 新米 🌾
- さんま 🐟など。
「食欲の秋」という言葉があるように、旬の食材を楽しむことも季節を感じる方法です。


まとめ 9月の暦を暮らしに取り入れて、秋を迎える
二十四節気
・白露(9/7~9/22頃)草木に降りた露が白く見える頃
・秋分(9/23~10/7頃)昼と夜の長さがほぼ等しくなり、この日を境に少しずつ夜の時間が長くなっていきます。
七十二候
・草露白 (くさのつゆ しろし)草に降りた露が白く見える頃。
・鶺鴒鳴(せきれい なく)セキレイが鳴き始める頃。
・玄鳥去(つばめ さる)春にやってきた燕が南へ帰っていく頃。
・雷乃収声(かみなり すなわち こえを おさむ)
・蟄虫坏戸(むしかくれて とを ふさぐ)
・水始涸(みず はじめて かる)」
夏の暑さが残る一方で、暦は少しずつ秋へと進んでいきます。
季節が変わっていく中で、夏の疲れが残っていたり、気持ちの切り替えがうまくできなかったりすると、なんとなく落ち着かず、「感情の迷子」になったように感じることもあるかもしれません。
自分のペースで小さな秋を見つけながら、心地よく秋を迎えてみませんか。

