春から夏へと向かうこの頃。
日差しはあたたかくなってきたのに、どこか体がついていかない——
そんなふうに感じることはありませんか。
季節はゆっくりと巡っているようで、
私たちの心や体には、思っている以上に変化がかかっています。
そんな“ゆらぎの時期”にあたるのが「春土用」です。
昔の人はこの期間を、無理に前へ進むのではなく、
整えるための時間として大切にしてきました。
「土用」とは

土用とは、「土旺用事」の略で季節の変わり目に設けられた約18~19日間の期間のことをいいます。
春・夏・秋・冬、それぞれの直前にあり、年に4回巡ってきます。
この考え方のもとになっているのが、古代中国の思想である
陰陽五行説 です。
自然界は
- 春=木
- 夏=火
- 秋=金
- 冬=水
に分けられ、
「土」はその間をつなぐ存在とされています。
季節はある日を境に急に変わるわけではなく、
少しずつ移ろいながら次へと進んでいきます。
その“あいだ”にあたるのが土用です。
次の季節へと移るための調整期間なのです。
春土用―季節の変わり目に訪れる“整えの時間”
2026年の春土用の期間
2026年の春土用は4月17日〜5月4日です。二十四節気「立夏」の直前までの18日間。
※年によって多少前後します
春土用は
・気温差
・環境の変化
・新生活の疲れ
などが重なり、
心や体のバランスを崩しやすい時期でもあります。
春土用にやってはいけないこと
土用の期間は、土を司る神様(土公神)がいると考えられており、
- 土を大きく動かすこと(庭いじり・工事)
- 引っ越しや大きな環境の変化
- 新しいことを無理に始める
などは避けた方がよいとされてきました。

ただし現代では、
「絶対にしてはいけない」ではなく
「無理をせず、慎重に過ごす」
という意味合いで捉えるのが自然です。
避けた方がよいとはいえ日常生活で不便なことも生じるため、土用の期間中でも、「間日(まび)」と呼ばれる日があります。
この日は土を動かしてもよいとされ、
どうしても外せない作業がある場合に間日に計画をたてるのが良いとされています。
- 4/17 (酉)
- 4/25 (巳)
- 4/26 (牛)
- 4/29 (酉)
気をつけたい過ごし方


春土用は、思っている以上に疲れが出やすい時期です。
そんなときは、
- 早めに休む
- 予定を詰め込みすぎない
- 食事を整える
といった“基本”を大切にするだけでも、
体は少しずつ整っていきます。



何かを足すよりも、
余計な負担を減らすことが大切な時期
五行で「土」は、
- 中心
- 調和
- 受け止める力
を意味します。
体では「脾(ひ)」、つまり消化や吸収に関係し、
胃腸の働きと深くつながっています。
そのため土用の時期は、胃腸にやさしい生活消化に負担をかけない食事を意識することが大切だとされています。
春土用に食べるとよいもの


土用には、特定の食べ物を取り入れる風習があります。
夏の「うなぎ」がよく知られていますが、
春土用では
「い」のつく食べ物
がよいとされています。
例えば
- いも → 食物繊維が豊富で、腸内環境を整える
- いわし → 良質な脂(EPA・DHA)で体の巡りをサポート
- いんげん → ビタミンやミネラル補給で疲れにくい体へ
- いちご → ビタミンCが豊富で、疲れやストレスをやわらげる
- いか → たんぱく質やタウリンで、疲労回復を助ける
- いよかん → 柑橘の香りで気分をリフレッシュ、ビタミン補給にも
- いりごま → 体を内側から整える栄養が豊富で、毎日の食事に取り入れやすい
どれも特別なものではなく、
日々の食卓にそっと取り入れられるものばかりです。
これは単なる語呂合わせではなく、
- 季節ごとに弱りやすい部分を食事で補う
- 言葉(音)の力=言霊の考え方
- 昔からの食養生の知恵
が重なって生まれた風習です。
■ 無理なく続けるための小さな工夫
忙しい日や、なんとなく気分が乗らない日には、
きちんと整えようと頑張るほど、少し苦しくなってしまうこともあります。
そんなときは
- 温かいスープにいんげんを少し加える
- いちごを数粒食べる
- 常備しておいたいわし缶を使う
それくらいの、ささやかなことで十分です。
まとめ|春土用は「整えることで次の季節を軽やかにする時間」


春土用の期間は、4月17日〜5月4日です。立夏の直前までの18日間。
土用は、何かを禁止するための期間ではなく、無理をせず整える時間の
次の季節へ向けた準備期間です。
うまくいく日もあれば、
どうしようもなく疲れてしまう日もある。
そんな揺らぎも含めて、季節の一部なのかもしれません。
少し立ち止まり、自分の心と体に目を向ける——
そんな時間として、春土用を過ごしてみてはいかがでしょうか。

